ロンドンの名物である「赤い電話ボックス」や、英国の地方に点在する公衆電話ボックスは、スマートフォン時代にもなお人々に残る象徴です。ですが、その使い道、料金、設置と撤去の基準、使い方などは最近大きく変わっています。このガイドでは、イギリスの公衆電話の使い方と現状について、最新情報をもとにわかりやすく解説します。公衆電話を使いたい方、観光で困りたくない方、維持の社会的意味を知りたい方に役立つ内容です。
目次
イギリス 公衆電話 使い方 現状: 公衆電話箱(電話ボックス)の数と設置状況
英国全体における公衆電話箱の総数は、2025~2026年度末で約10,338箱と報告されています。これにはロンドンを含む都市部・郊外・地方が含まれます。設置されている電話箱のうち、機能不全や故障しているものは約1,921箱で、修理完了まで平均19日かかっています。
近年、使用頻度の低い電話箱については撤去の提案がなされており、地方自治体や公共機関連絡先への意見提出期間が設けられることがあります。これは地域社会の意見を反映する仕組みであり、電話ボックスの撤去や維持に関する透明性が確保されています。
設置数の変化と傾向
公衆電話箱の設置数は過去数十年で大きく減少してきました。主にスマートフォンの普及と固定電話のデジタル化による影響です。その一方で、観光地や歴史的価値のある電話ボックスは象徴的な意味合いもあり、完全な撤去は慎重に行われています。
また、新たに設置されるケースよりも撤去・再配置のほうが多くなっており、特に市街地や交通量の多い場所での電話箱は維持されやすい傾向があります。
維持・修理体制
維持管理は主にBTとKCOMの担当で、それぞれ公共の電話箱(Public Call Boxes)の運用・修理・撤去に関するガイドラインに従っています。故障報告件数は毎年数千件にのぼり、実際に修理が完了する数も同様の水準です。
報告から修理完了まで平均19日とされており、公共サービスとしての信頼性を担保するための努力が続けられています。特に安全性や緊急性が高い場所の電話箱は優先されます。
撤去の基準と保護対象
電話箱撤去の判断には「ラスト・アット・サイト(最後の電話箱)」かどうかという基準が重要です。撤去できる条件として、次のような項目が挙げられます。
- その場所に全国主要な携帯キャリア全社の電波が届いているか
- 事故多発地点や自殺が起きやすい場所であるか
- 過去12か月間に52回以上の通話がなされているか
- 緊急時の利用など、地域社会にとって合理的な必要性があるかどうか
電話箱がこれらのいずれかを満たす場合、撤去には地元自治体との協議が必要になります。保護対象となる電話箱は、地域の公共性・安全性を担保するものと考えられています。
公衆電話(電話ボックス)の使い方と支払方法

公衆電話を使う際の操作はかつてと比較すると簡潔ですが、利用タイプや支払方法により多少の違いがあります。基本的な使い方・支払い・発信方法について、最新の状況を踏まえて解説します。
電話をかける基本的な手順
まず電話ボックスの扉を開け、受話器を取ります。カードまたはコイン投入口を確認し、所持している支払い方法を使います。カードを使う場合、指示に従ってカードを挿入またはスワイプし、必要なら暗証番号を入力します。コインの場合は所持している硬貨を正確に入れて発信番号をダイアルします。電話が相手につながると通話が始まります。終了時には受話器を戻し、ドアを閉めます。
国際電話をかける場合はプラス記号「+」か国際アクセスコード(国によって異なる)、次に国番号、相手の番号を入力します。全値国内通話とは異なる料金が適用されることが多いため、料金表示を確認することが重要です。
支払い方式:コイン・カード・その他
伝統的なコイン(ペニー、10ペンス、20ペンス、50ペンスなど)を使う電話箱もありますが、カード支払い(デビットカード・クレジットカード・BTの専用プリペイドカードなど)が一般化しています。カードリーダー付きのモデルでは、操作パネルにタッチまたは挿入し、必要な手順を踏んで支払います。
また、プリペイドカードを使う方式ではカード番号を入力する形式もあり、それにより残高から通話料が差し引かれる方式です。コインが使えない電話箱もあるため、支払い方式は電話箱本体で確認する必要があります。
通話料金の目安
通話料はダイヤルする番号の種類によって大きく変わります。主要な市内電話番号(01/02)への通話、モバイル(07)への通話、フリーフォン(0800/0808等)、プレミアム番号(09など)などで料金帯が設定されています。
例えば、固定電話または公衆電話からの01/02番号への料金は数ペンスから十数ペンス程度である一方で、プレミアム番号になると通話「開始料」や追加のサービス料が加わって高額になることがあります。料金は固定電話会社の料金ガイドや電話箱の内部表示で確認できます。
なぜ今でも公衆電話を残すのか:社会的意義と保護制度
様々な理由から、公衆電話はただの懐かしの風景以上の存在です。非常時や携帯電話が通じない地域、観光や歴史的価値の維持など、多くのケースで利用される価値が保たれています。制度的にも保護の仕組みが整備されており、公共の利益と安全性を考慮した運用がなされています。
緊急時のバックアップとしての役割
携帯電話の電波が届かない場所や、バッテリー切れなど、緊急を要する場面で電話箱は頼りになります。特に山岳地帯、国道沿いの田舎道、崖など事故が多発する地域では重要です。使用回数が少なくても、緊急対応の観点から撤去を制限されるケースがあります。
また、災害時の通信手段として設けられているケースもあり、地域住民や訪問者の安全を守る役割があります。
文化・観光資源としての価値
赤い電話ボックスは英国文化の象徴とされ、多くが写真スポットや観光名所になっています。歴史的建築物として保存指定されていたり、地域コミュニティが再利用する例もあります。例えば、小規模図書館やAED(自動体外式除細動器)置き場として、また観光案内所の一部として転用されることがあります。
地元住民や自治体が「電話装置を外して電話箱だけを保存」する申し出を行い、£1で電話箱を引き取って新しい用途にするケースもあります。
保護制度と撤去のプロセス
BTおよびKCOMは、電話箱の設置・撤去に関してユニバーサルサービスの条件を満たす義務があります。撤去には、携帯電波の状況や過去一年の通話回数、安全性など複数の判断基準が用いられます。
電話箱が「ラスト・アット・サイト」(その場所で最後の電話箱)であり、基準に該当する場合は、撤去前に自治体と相談期間が設けられます。これにより地域住民や利害関係者が意見を言える機会が確保されています。
赤い電話ボックスは今どうなっている?歴史的保存と再活用
赤い電話ボックスは英国のアイコンとして知られ、K2・K6型などいくつかの古いデザインが観光資源として強い存在感を持ち続けています。それらの保存状態、再活用の動き、デザインの更新などについて最新の動きを紹介します。
歴史的デザインと保存指定
赤い電話ボックスの代表的なデザインであるK2型、K6型は、デザインの良さから歴史保存指定を受けることがあります。これにより、外観を保持する義務が生じ、構造的な改変や完全撤去が困難になります。
このような電話箱は文化遺産としての価値があると認められており、観光客の注目を集めるだけでなく、コミュニティの誇りとしても扱われます。
再活用のプロジェクト
現役として電話機能を維持するものだけでなく、多くの赤い電話ボックスは新たな目的に再利用されています。例えば、小さな図書館、植栽の展示ケース、Wi-Fiホットスポット、AEDを置く場所として地域の安全設備などに転用される例があります。電話機そのものを外してボックスだけを活かすことが多いです。
また自治体やボランティア団体による「アダプト制度」で、電話箱を£1で引き取り、地域の資産として再生する事例が各地で進んでいます。
握られている問題点と批判
維持コストや使用回数の少なさ、衛生問題などの観点から、公衆電話の存在そのものを疑問視する声もあります。特に都市部では携帯電話が普及しており、電話箱の必要性が薄れていると感じる人が少なくありません。
また、電話箱撤去の際には住民との衝突が起きることもあり、地域の意見を尊重すべきという声が強く挙がっています。安全性やカバー範囲、公衆の安心感をどう維持するかが課題です。
使えない・撤去された電話箱がある理由と代替手段
公衆電話箱が使えなかったり撤去されたりする理由には技術的・経済的・社会的背景があります。同時に、使えない場合の代替手段も考えておく必要があります。
撤去・機能停止の主な原因
使用頻度の低下により収益性が下がったことが大きな原因です。また、コインの使用率が減りインフレやコイン自体の製造コストが問題になるケースがあります。
また、通信技術の進展や固定電話回線のアナログからデジタルへの移行が影響します。PSTN撤去や旧式ネットワークの廃止によって、電話ボックスで使われていた通信インフラがサポートされなくなることがあります。
使えない電話箱を見分けるポイント
電話ボックスの受話器が無い、投入口が塞がれている、ディスプレイが故障している、電柱表示や支払い案内が消えているなどが目印です。
また看板に「Out of order(使用不能)」と表示されている場合や、保守がされていない雰囲気がある物は機能停止している可能性が高いです。
代替手段:携帯・VoIP・緊急電話
スマートフォンや携帯ネットワークが主流になっており、VoIP(インターネットを通じた音声通話)サービスが一般家庭の電話でも標準になっています。固定電話のアナログ回線は2027年1月までにデジタルに移行予定であり、VoIPを使った家庭向け電話サービスが広がっています。
緊急時には番号999や112、また各都市・地域の非緊急番号101などがスマートフォンから利用可能です。電話箱が使えない場合でも、これらが代替手段となります。
まとめ
イギリスの公衆電話の使い方と現状を知ると、単なるレトロな風景以上に公共・安全・文化の要素が複雑に絡み合っていることが分かります。電話箱は数を減らしつつも、地域社会にとって重要なセーフティネットであり、文化遺産としての価値が高いです。
使い方は支払方法・発信先によって異なりますが、カードまたは硬貨が基本で、料金は発信先の番号種別によって変動します。撤去には明確な基準があり、地域の声が反映される手続きが用意されています。
もし旅行中に電話箱を使う機会があれば、まず機能しているか確認し、使い方・料金案内を読み、適切に支払いをして通話することを忘れずに。公衆電話箱はこれからも英国の街角に小さな光として残っていくでしょう。
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